Yoga and Medical Science

Dr. Ramesh Bijlani (ラメシュ・ビジュラニ先生)は医師であり作家、先生、科学者、ヨーガの道を探求する者として日々多くの人々に教えを与え続けています。ビジュラニ先生の著書の中でヨーガと現代医学の出会いについて以下のように述べられています。

「現代医学は1900年~1950年の期間の間に壮大な進歩を遂げ、いくつかの感染症はワクチンと抗生物質の助けを借りて克服することができました。画像技術と臨床生化学の発展により診断制度が各段と向上し、手術も安全なものになりました。その結果、寿命は大幅に伸びたものの、現代の人々は慢性的なストレスによる疾患や生活習慣病に代表される別の種類の病に悩まされています。

これらは、感染症や栄養失調とは違って、ひとつの明確に識別可能な要素の有無に起因する病ではなく、何十年にもわたってゆっくりと蓄積したダメージの結果引き起こされます。精神的ストレスを主だった付随物とする不健康なライフスタイルによって、少しずつ静かに私たちにダメージを与えます。そこで、病気の予防と管理のために精神的ストレスを克服するための良いライフスタイルとその戦略の探求が始まりました。これらの探求はいずれも、精神的な平和を持続させるための素晴らしいライフスタイルと処方箋を持ち合わせるヨーガのような古代の訓育の再発見に収束しました。

ヨーガのような心身アプローチを現代医学に取り入れることについて次々に多数の疫学的、臨床的、実験的研究が行われ、2000年までには心と体の関係は強力な科学的基盤を持つこととなりました。ラリー・ドッシー(Larry Dossey)によると、1950年に現代医学は物理医学の時代から、心身医学の時代に入ったと述べられています。その新たな次元はヨーガの領域に大きく依存しています。このようにして古代の叡智が現代医学の一部になりました。」(『Back to Health through Yoga』をもとに情報をまとめました。)

西洋科学と東洋科学の融合の実例としては、米マサチューセッツ大学医学大学院教授であるジョン・カバットジン博士が同大学にストレス低減センターを立ち上げ、西洋科学とマインドフルネスを統合させたマインドフルネスストレス低減法を教え始めたことが挙げられます。そこで博士は、ヨーガをするということは、「心と体を結び付ける」ことであり、「心と体が一体となった経験をする」ことであると述べていて、マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)において、注意を集中しながら行うヨーガ瞑想法は、ボディースキャン、静座瞑想法とともに、ストレスクリニックの瞑想法の三本柱の一つとなっています。


Dr. Bijlaniはいつも「Yoga is a way of life.(ヨーガは生き方である)」という事を私たち生徒にリマインドし続けました。ヨーガは決してアーサナ(ポーズ)と同義ではなく、生き方そのものであり、日々の生活の中にいつもYogic Attitude(ヨーガの姿勢)を取り入れることこそが大切であると。

ヨーガが教えてくれる心と体へのホリスティックなアプローチは、私たちが現代社会の中で抱える様々な問題の解決策になると私は信じています。


Yoga and Sustainability

ヨーガのライフスタイルの中では菜食主義が推奨されています。これは健康面だけでなく、現在私たちが抱える様々な社会問題 (環境問題、食料・エネルギー問題等) の解決策ともなりうるものであることが近年の様々な研究や統計からも明らかになってきました。毎日食事に肉を取り入れている方は、一週間に一度ミートレスデイ(お肉を食べない日:環境負荷の視点からするととりわけ牛肉の摂取を削減)を設けることで温暖化防止のための貢献となるそうです。ミュージシャンのポール・マッカートニー氏は「健康と環境のために週に一度はベジタリアンになろう」と提唱されています。

以下には環境問題や食料問題、医療問題等の現代社会が抱える課題について知ることのできる情報や人物、資料などをシェアさせて頂きたいと思います。知ることこそが行動変容のカギになるという信念を持つ私ですが、それはまさに私自身これまでに様々な国や地域の現状を目にしたことでその度に自分の行動を振り返る機会を得られたことに帰結します。多角的に情報を得て、自分で選んで行動することの大切さを最近はより一層実感しています。

栄養学者コリン・キャンベル教授や外科医コールドウェル・B・エセルスティン博士の著書や講演内容から菜食を勧める理由や現代病との関連性、また社会問題との関りについて学ぶことができます。環境問題について学べる映画について「SDGsについて学べる映画」に記載しました。以下には現代社会の大きな課題となる温暖化について、どのような温暖化物質が人間のどのような活動から排出され、それらが現在どれ程の割合で存在しているかといった現状を知ることのできる統計を添付します。

出所) IPCC第5次評価報告書より作成
出典)全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より
出典)全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

SDGsで述べられているサステイナブルな生き方を考えた際に、社会構造上の問題は山積みではあると思いますが、それでも私たち人間をはじめとする生きとし生けるもの、そして地球自体が健康にそれぞれ持続可能であるためには、「消費する社会」から「環境に配慮した持続可能な社会」へと人々がシフトすることこそ、一刻の猶予もなく始めるべき行動であると思います。自然環境の研究者は2030年までの10年がその先の地球の状態を左右する重要な期間であると述べています。
そうした地球規模の問題に立ち向かうためには、私たちひとりひとりが「insight (物事の真相を見抜く力、洞察力)」を養い、コマーシャリズムやメディア等の印象だけで物事を判断するのではなく、「本当に今自分にとって、社会にとって、地球にとって必要なことは何か」を常に自分自身に問うて生きていくこと。つまりひとりひとりの意識改革が大切だと思います。

その際にひとつの指針を与えてくれるものがヨーガであると私は感じています。ヨーガを行うことで、「自分にとって大切なものは何か」がゆっくりと、しかし確実に分かるようになります。それは時に運動的側面、時に食事的側面、そして時に精神的な側面であったりします。今あるものに感謝して生きることの大切さを教えてくれるヨーガ。様々な種類のinsightを与えてくれるヨーガが、今後より一層多くの方々の”幸せに生きる糧”となることを心より願っています。


汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ

ヒポクラテス

生きるために食べよ
食べるために生きるな

ソクラテス

未来の医者は薬を使わず食事を重視し、病気の本来の原因を探し予防するという、人間の基本を大切にして治療をするであろう

トーマス・エジソン