ヨーガの歴史
ヨーガという言葉は「結ぶ」「つながり」「結合」を意味するサンスクリット語のyuj(ユジュ)に由来します。その歴史は諸説ありますが、一説に約4500年~5000年前のインダス文明に遡るとされます。インダス文明最大級の都市遺跡「モヘンジョダロ遺跡」では坐法を組んで瞑想する印章や様々なポーズをとる陶器製の像などが発見されています。
以下の写真は、インドのニューデリーにある国立博物館で2009年に私が実際に撮影してきたものです。すべての展示品の写真撮影が認められていて本当に驚きました。無我夢中でシャッターをきったのを覚えています。


美術館の方が教えてくださいましたが、高価なもの、煌びやかなものの多くはイギリスにあるということで、こちらの博物館に飾られている文化品の数々は質素でしたが、とても心に訴えるものがあると感じました。インドの神々、時代ごとに変化する仏像の数々や、お釈迦様のお骨(仏舎利)が舎利容器に納められて金色の美しいストゥーパと一緒に展示されています。余談ですが、このストゥーパが日本でお墓に供えられる卒塔婆(そとうば・そとば)の語源だそうです。


シヴァ神の青銅像

この美術館で私は、本当に多くの日本の文化がインドにルーツを持つことを知り、心から驚いたとともに、自分の無知さが恥ずかしくなりました。それから「歴史」にも興味を抱くようになりました。
さて、話をヨーガに戻しますね。ヨーガ最古の経典としては紀元後4~5世紀頃にヨーガの聖者パタンジャリによって編纂された「ヨーガ・スートラ」が有名です。悟りに至るためのアシュタンガ(八支則)ヨーガの教えを説いています。また、インドの聖典のひとつである「バガヴァッド・ギーター」からも深く広いヨーガの叡智を学ぶことができます。
ヨーガとは?
ヨーガを体系的に記した最も古い文献『ヨーガ・スートラ』に、ヨーガの定義は「ヨーガとはこころのはたらきを止滅することである」と書かれています。
ヨーガは10年続けてようやく初めの一歩を踏み出したと言われます。ヨーガに出合い、その学びを続けて10年以上経過した今私が思う、「こころのはたらきの止滅」とは、「感情に流されるのでなく、感情の動きを俯瞰する視野(メタ認知)を持つ」ということです。
昔は「こころの働きを止滅するとは?それはイコール心を失うこと?」などと、頭をこねくり回しては、思考でいっぱいになっていました。ヨーガの真逆に進んでいました(;^_^A
自分自身が心地よく集中できるものに「一心に没頭している状態」もしくは、「瞑想」をして頭や心の過活動を落ち着かせて、「感情に揺り動かされていない状態」を経験することは、「自分を俯瞰する」入り口に最適だと感じています。
インドの聖典『バガヴァッド・ギーター』の中では、「ヨーガ」は「道」とほぼ同義となる使われ方をしています。
私がインドでヨーガを教わったDr. Ramesh Bijlaniはレッスンで毎回「Yoga is a way of life. (ヨーガは生き方)」と仰っていました。
「ヨーガはポーズ、呼吸法や瞑想のことを言うのではありません。これらはヨーガの練習を深めるためのテクニックであり、正しく深めるための助けです。ポーズや瞑想などのヨーガの技法を日々実践することは、ヨーガの態度をもって日々を生活することに直結していきます。そうしてヨーガの技法がより大きなヨーガの道に浸透してゆきます。」と。
こうしたこれまでの10年の学びを私なりに紐づけて要約すると、
「ヨーガ的態度で生きる」とは、「心地よさを大切にして生きる」ということ。
なぜそうするのか?
「自分らしく生きるため」
どうやって?
「感情の性質を知って、感情をナビゲーターとして、本来の自分の声に従って生きる」
感情の性質とは、
「心地よい=本来の自分の望むものと合っている。」
「心地悪い=本来の自分の望むものと逆をいっている」
ということ。
今私の思う本来の自分の声に従って生きるとは、「ワクワクしたり楽しくなるので自然とやりたくなってしまうこと」を感じ取り、その心の声や感覚に素直に耳を傾け、実行に移す。ということです。
その自分の中の素直な感覚に出会えるようにしてくれるのが「瞑想」だと思っています。
ヨーガの呼吸法やポーズの数々は、どれも瞑想状態に入るための手段。皆さんがイメージする「座禅を組んで行う静かな瞑想」もあれば、座っていると思考が活動してしまう人には、身体を動かして、その体の感覚に一心に没頭して瞑想状態(思考と感情の活動が穏やかな状態)に入るヨーガのポーズの方が行いやすいかもしれません。
その意味では、ポーズも呼吸法も、すべては「瞑想」と言っても良いかもしれませんよね。また、例えば、書道で無心になれる方は書道が、ダンスで無心になれる方はダンスが「瞑想」なのではと思っています。さらに、日本の「道」とつく教え(書道、茶道、柔道など)は、まさに「ヨーガ(=道)」だと私は解釈しています。
ここで大切なのは、「頭で考える」ことを一度手放す時間を生活の中に設けるということだと思うのです。
そうすることで、子供の頃に感じていたような「ワクワクした感情」や「懐かしさ」「心地よさ」が心の中に甦ってきます。その感覚に触れられるようになれば、あとは「外界の声」ではなく、その「内なる感覚・心地よい感覚」に従って、日々の選択を決定してゆくことで、「あぁ、自分らしく、生きている」という実感を得られるようになるのではと感じています。
こう書き綴っている私も今、そんな道の只中です。
〈私がインドでのヨーガ修行から今までに学んだこと〉
日々の生活でのひとつひとつの『選択』をヨーガの態度(心地良さに忠実に)で行うと、それは自分自身、そして大切な身の回りの人々、さらにはすべての人々、自然、地球を大切にする生き方に繋がる
ヨーガの種類
ヨーガには、現在最も人気のあるハタ・ヨーガ(ポーズや呼吸法を中心としたヨーガ)以外にも多くの種類が存在します。自分自身が “一番はじめやすく、好きな種類” を知ることもヨーガの楽しみの一つであると思います。そこで以下にヨーガの大まかな分類を表にしてご紹介します。

ヨーガのいろは
以下にヨーガの学びを様々な側面から切り取りご紹介したいと思います。お好きな項目をクリックして詳細をご覧ください。
参考サイト:
インドの国立博物館:http://nationalmuseumindia.gov.in/en
最終更新日:2022年10月11日