講師やインストラクターと呼ばれるお仕事をさせていただき、大勢の方の前で話すこともある今の私ですが、小さい頃はいつも母のスカートの後ろに隠れているようなシャイで内向的な子供でした。
4歳から習っていたヴァイオリン。何歳になっても発表会では極度の緊張状態に陥っていました。発表直前の舞台裏では、手の汗が尋常でなくなり、心臓の鼓動が早すぎて深呼吸など到底できず、弓を持ったり弦をおさえるのも難しいような状態でした。
毎年、周囲の方から「観客の皆さんをじゃがいもと思うといいよ」「手に森と書いて飲み込むといいよ」などなど、様々な緊張緩和法を教えてもらったのですが、どれも私の極度の緊張を止めることはできませんでした。
そんな私に大きな転機をもたらしてくれたのが、小学校4年生の時に入部したミニバスケットボールクラブです。素晴らしい仲間と監督、コーチに恵まれて、徐々にありのままの自分を出すことができるようになっていきました。
そんなある日、ヴァイオリンの先生から「みどりちゃん、堂々とした音が出るようになってきたね。」と言われたこと、嬉しくて今でもよく覚えています。
心の変化は、幼少から習っていた音楽での音にも、書道での文字にも変化をもたらしてくれました。
何より、自分自身、すごく「生きやすくなったこと」を今でもよく覚えています。
小学生で「生きやすくなった」って大袈裟では?と感じられるかもしれませんが、それまでの私は本当にどこか深く生きづらさを抱えていました。人の目をいつも極度に伺ってしまい、「こんなこと言ったら変と思われるかな。」など、思考ばかり先行して、言葉や行動が追いつかないことがよくありました。それでいて、いじめの現場を目撃すると、突発的に言葉と行動が発動して介入してしまうなど、自分には止められぬ衝動もあり、「活発的な自分」と「内向的な自分」が混雑していました。
もしかしたら、バスケットボールを通じて、そうした自分の中の様々な部分が徐々に統合されていったのかもしれません。
そして何より、今思えば、これが「人と人との出会いの大切さ」を知った原体験だったのかもしれません。